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日本から届いた論文

とある日の朝のこと。

僕は、朝一の習慣となっている、
物理天文学科の1Fに存在しているフロントオフィスに立ち寄ってみた。

というのも、そのフロントオフィスには、教員用と共に大学院生用の郵便物が、ごくたまに届くからである。

オフィスの前方にある棚には、木製の郵便物入れが、でーんと構えてある。
まるで蜂の巣のようだ。

そして、僕の名前が書いてあるその一角を、しげしげと覗いて見る。

普段ならば、なにげない無常の空間のはずなのだが、
その日は僕あてに一つの封筒が届いていた。

驚いて送り主を見てみると、とある日本の最高学府の名前がそこにある。
そして、知らない方の名前が、英語で手書きしてあった。

誰だこの人?なんで日本から?オレなんか悪いことしたっけ???

封筒をながめて頭をひねりつつ、自分のオフィスへ向かう。

机に到着すると、おもむろにビリビリ封筒を破いてみた。
そして、机に向かって、逆さまにひっくり返す。

パサっ

そこには、上質のまっさらな紙で印刷された、少し小さめの論文冊子が現れた。

へっ??? これだけ???

そう。これだけ。

封筒の中身をみてみたが、そのほかに手紙やメッセージらしきものは見当たらない。
どこをどう見ても、この小冊子の論文だけである。

それから、こ一時間、僕はこの論文を送りつけられたその意味を悩むことになるのである。

論文は、統計力学についての論文だった。
それもPhysics Topical Reviewという、まとめの論文みたいなもの。

レビューの論文は、その分野について、相当の知識が無いと書けない。

内容自体でいうと、
とある数値計算の手法について、画期的な手法が分かったみたいなことが書いてあった。

いったい全体、僕にこの論文を送りつけてくる意味が分からない。

オレ様の論文すごいだろ。えっへん。
おまえにも、見せてやるから読んでみろ

ってことなの?

でも、僕は天文学、宇宙物理専攻だぞ。
統計力学なんて、まったくもって専門外。

まあ、そりゃ、僕も物理学科の博士課程大学院生なんで、
統計力学くらいは分かりますがな。

うちの統計力学の大家、リー先生の統計力学の講義を取らされたとき、
それはそれは、死ぬほど鍛えられたから。

そもそも、論文だけ送りつける気概が気に食わない。

今度こんな論文出しましたので、もし興味がありましたらお読みになってください。

というメッセージの一言でも添えられていたら、評価は180度変わっていただろうに。

もしくは、物理の世界には、一言の挨拶文無しに、論文を相手に送りつける文化があるの?
だとしたら、僕は正直そんな世界になじみたくないなぁ。

少し話は変わるが、学校にある僕のオフィスは、机を横に隣り合わせて2人で共有している。真ん中はパーティションで切ってあるが、ほぼ同じ空間を所有していると言っていい。

そのオフィスメイト、同じ大学院生で同じ研究室のクリスに、事のあらましを説明した。

「日本から論文が送りつけられて来てねぇ~
こういうのを日本では、自意識過剰というのよ」

と言ったら、笑っていた。

ずーっと前に書いたけど、どうも研究者というカテゴリには、
コミュニケーション能力に問題がある方が多いそうだ。

実際にそういう統計結果もある。

僕自身も、他人からこんな風に思われないように、気をつけようと思う。
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by structural | 2007-11-17 20:24

年末年始の予定

ちなみに、このブログは家族親戚宛の一斉メールにもなっているので、そのつもりで。

というわけで、ワタクシの年末年始の予定報告です。

テキサス州オースティンへ、アメリカ天文学会に行ってきます。1月7日からです。

ポスター発表をしなければいけません。

ということは、秋学期が終わった直後から、ポスター作成の追い込みが始まります。
休めない。止まれない。(涙

したがって、

日本へは帰れません(T-T)

おいしいお寿司が食べたいです。(心の叫び)
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by structural | 2007-11-05 09:23