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英語力と授業評価

最近ちょっと真剣に悩んでいるというか、考えていることがある。それは「物理実験の際、どうすれば学部生に分かりやすく説明出来るようになるのか。そのために必要な僕の英語力をどうやって上げれば良いのか」ということである。

実は最近、前学期にやった物理実験TAの授業評価をもらった。最近は日本でも存在するのかどうか分からないが、アメリカでは授業評価なる制度がある。つまるところ、生徒が先生の授業を評価するのである。授業の良かった点、悪かった点を5段評価で査定する。

システムは大学教授でも単なる大学院生のTAでも同じである。大学の教授はこの生徒からの査定が、のちのちの運命を決めるのだから怖いものだ。ちなみに僕はペーペーの大学院生なので、クビになるという心配はないけれど。

僕はペーペーといえども、学部生を教える立場であったので、システムに漏れることなく、同じように学部生から授業評価をされた。そのコメントその他が最近返ってきたのである。

結果はと言えば、正直凹んだ。学部生とは、よく見ているものだと関心した。そんなこと言っている場合じゃないけど。

全体的なコメントで総括すると、「英語をもっとしゃべれるようになれやコラ」ということらしい。まったくごもっともなご指摘である。反論の仕様がない。

僕が教えたのは、科学系専攻だけれども物理専攻ではなく、生物専攻だったり医学系専攻だったりする学部生1−2年の子たち。中には自分が所属する学部から、半ば強制的に取らされて履修した生徒もいたりする。当然モチベーションは高くない。そうじゃなくとも、大学に入学したばかりという学生もいたりする。感覚的には高校生の感覚が抜けていない。

コメントの一割は、そんな子からの結構辛辣なコメントだったりする。「おまえの授業はさっぱり分からんかったぞ」って感じ。分かっているのだか、やはり凹む。僕の英語や説明が分からないのもあるだろうが、苦手意識や物理そのものが分からないのも手伝って、頭に来たんだろうなと思う。

コメントの7割くらいが結構冷静に、「英語をなんとかすればもっといいんだけどね」と書いてあった。「Public Speakingのスキルを上げなさい」「個人的に質問している時はいいんだけど、黒板の前に立って授業しているときが挙動不審」なんてコメントもあった。

その他の一割は、「もっと前もって準備しよーね。」というものだった。まことに申し訳ない。パートナーが授業する時は、予備実験もてきとーにすませてしまうことがあった。まあ始めの数回だけだったけど。最後の方は心を入れ替えて全てキチンとやってきたつもり。ホント生徒ってよく見てる。今学期はそんな適当なことはしないと誓う。

最後のコメントの一割は純粋に褒めてあった。「このTAを他の生徒にも薦める」なんてコメントもあった。うれしかった。

Public Speacking - 大勢の人の前でどうやって話すか、どうやって自分をアピールするか

アメリカの中高生は一度はこのクラスをとると思う。確信は無いけど。日本じゃそもそもこんなクラスは開講していないし、そんな機会も無い。「大勢の人の前で話すときには聴講している人の目をくまなく見渡さなければだめ」なんてことは、大学院に入ってから実地で学んだ気がする。

塾の講師のアルバイトの経験が多少あるから、黒板の前に立って授業するのは、他の人に比べると違和感は無い。それでも英語で物理実験の説明をすらすらせよと言われると大変である。

結局のところ、解決策としては、自分の英語力を上げるしか無い。それも日常会話レベルではなく、「英語で物理を黒板の前に立ってよどみなく説明できる」レベルが求められている。

このレベルの英語力をつけるためにはどうしたらいいのだろう。

確かに大学ではTAのための英語の授業が開講されている。しかしながら、時すでに遅しの感がある。物理実験は来週から開講されるため、どうしても付け焼き刃の感が否めない。それに英語の授業に取られる時間を考えると、それだけの投資に値する見返りがあるかどうか疑問だ。

ちなみに来期からはRAがもらえることが確定しているため、TAとして教えるのは今期が最後。その事実も悩みに拍車を掛ける。

英語の会話パートナーや教会なんかで開催されている英会話教室はどうだろうか。うーん。「英語で物理を黒板の前に立ってよどみなく説明できる」レベルが身に付くとはどうしても思えない。そもそも日常会話はそんなに苦労していないし、そのために割く時間がもったいないと思えてしまう。

友人の大学院生は「所詮、大学院生は研究してなんぼだから。ある程度割り切って教えないとだめよ」と言っていたのを思い出す。たしかに一理あるようだ。

つまるところ、自分でもなんとなく分かってきているのだが、この忙しい一週間のサイクルの中で、あまり割ける時間は無いということである。あくまでも実地対応していくしかないのである。

そうは言ってみたものの、何かいいアイデアがあったらちょっと考えてみようと思う。

生徒のためにも、自分のためにも。
by structural | 2007-01-17 02:09
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